WALTER   MATTHAU




ジャック レモンの事を最初の回に書きましたが レモンとウオルター マッソーが組んだ「おかしな二人」(68)に始まるオスカーとフェリックスのでこぼこコンビシリーズで私めは 俄然 マッソーのフェリックスが好きでした。ずぼらで いい加減で 細かい事を気にしない大男はおそらくマッソー本人とは異なるでしょうが 2度だけ会った印象では あの耳の垂れたブラッド ハウンド犬そのもので 大型犬の忠誠心に溢れているような  何とも愛すべき俳優でした。本人も言っている様に レモンの方は はせわしく すべてにこだわる ナーヴァス エネルギーの持ち主だったのでオスカー役と全く同じだったのでは と懐かしく思い出されます。




どこから見てもニユーヨーク出身のユダヤ系に見えますよね。でも 実際は1920年にニユーヨークに生まれてますが 何と父親はカトリックの神父で宗教迫害でロシアから米国に来てそこでユダヤ人の女性と結婚したとか。


ともかくあのしつこさと巨体で相手を言いくるめる弁護士とか教授の役をすると
圧倒的な存在感で 画面からはみ出してきそうでした。
その最たる例がビリー ワイルダー監督の「恋人よ帰れ! 我が胸に」(66)でのいやみな弁護士役でした。これでオスカー助演男優賞を受けています。




“演技などと言うものは 何となくするもので 無理に役に自分をねじ込むとおぞましい雰囲気が出てきてしまうのだよ” などとあのしわしわで あごと首の境目がないような顔で真面目に言ってましたが どこかおかしくて ユーモラスな俳優でした。ユダヤ人の言葉  イェデイッシュ(ドイツ語がなまったような ヘブライ語とは違う庶民的な言語)で立て続けにジョークを飛ばしては ひーひー笑って 全てが喜劇的な人となりを見せてました。


特にバーブラ ストライザンドとの不仲は有名で「ハロー ドーリー」(69)で共演した時から 彼女の口うるささにうんざりして
“ ストライザンドの才能などチョウチョの糞みたいなものだ” とか
“ 次に共演するとしたら ぜひ 「マクベス」ですね。あの女優の不協和音とメガロマニアックな性格はマクベス夫人にぴったりだから”
等とほざいておりました。


“ ロバート レッドフォードがする役を僕もしたいのだがね” としれっと言うところが おかしいのです。


再び レモンとコンビを組んだ「ラブリー オールドメン」(94)と95年の続編は60歳を過ぎた二人がまだ枯れていない様をみせ 相手役にソフィア ローレンなどを選び それなりに面白かったけれど 「I'M NOT RAPPAPORT」(96)では ラジカルで説得上手な老人役を熱演、 老黒人俳優のオジー デーヴィスのほとんど盲目のビルの管理人を相手にセントラルパークで奇妙な友情を発展していくというドラマは二人の演技が
[I.Q.] 1994
しっくり合って とても良かった。


メグ ライアンと共演した「I.Q.」(94)では何とアインシュタインを演じて
191センチの身長のマッソーは本物の博士より 60センチも背が高かった
そうです。


2000年7月1日に腸のガンから肺炎を併発して79歳で亡くなりました。

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