MICHAEL   PENA


両親はメキシコから移民してきた農民でシカゴのサウスサイド(ブルーカラー地区)で工場の仕事を得てもルーツは忘れず,父親は小さな庭にトウモロコシ,トマト、タマネギ等を植えて,近所の人から好奇の目で見られたそうな。メキシコ人といじめられない様にと二人の息子は放課後,家にいる様にと言われ,テレビを見ては英語と演技を見て取り,それが昂じて自分たちの劇を作り始めたのが,マイケル ペナの俳優のスタートでした。

1976年1月13日生まれですから今年36歳。
向上心豊かな両親の支持で地元の私立の名門校に入学,17歳の時,両親の友人にオーデイシヨンをすすめられ、ピーター ボグダノビッチの「TO  SIR, WITH LOVE  II  」(96)の役を得て,ここからマイケルの演技熱が急上昇。

いかにもメキシコ系のルックスを活かして,次々に役を得ます。ニコラス ケイジ主演の「セカンズ」(00)とかクリント イーストウッドの「ミリオン ダラー ベイビー」(04)でのだじゃれを飛ばすアマチュア ボクサーの役
などなど。「クラッシュ」(04)ではアンサンブル キャストとは言え準主役,そして再びケージと共演の「ワールド トレード センター」(06)で勇敢な消防士を激演して
マイケルの名前はかなり広まりました。

ロバート レッドフォードが監督,出演した「大いなる陰謀」(07)ではイラクで戦う兵士の役で出てましたが,このエピソードがあまりにもとって付けたようで,国会議員のトム クルーズと彼をインタヴユーするジャーナリストのメリル ストリープの場面だけが印象に残るものでした。風刺と皮肉にあふれて、腹に一物も100物も持つ二人の駆け引きが,両方のスターの持ち味を活かしていました。全く評価されずにに消えてしまった映画でしたが。

と言う様にマイケルは,街のはぐれもの,消防士,兵士と言った現実のメキシコ人の現状を反映する役ばかりするようですが,ここに彼は生の人間の生命を吹き込むのです。彼の表情から,マイナリテー人種だが,俺たちも苦労して生きているのだ!と言う迫力が伝わってきます。

「タワー ハイスト」(11)はエデイー マーフィーとベン ステイラーの冒険喜劇でしたが,ここでもマイケルは独特なルックスを突き出して,自分の出番を決めています。

そして今年の「エンド オブ ウオッチ」です。LAPD の
新米警官デユオがやる気満々で 市内の最も危険な地域をパトロールしては凶暴な麻薬取引グループの凄惨な殺人現場に行き,げーげー吐いたり,火事があれば3階の子供を救助して,消防士からは叱責されますが,署では表彰されたりします。
相棒は白人のジェーク ジレンホールで二人の呼吸がぴったり合い,だんだん友情が深まって行き,マイケルの妻には赤ん坊が生まれ,ジェークは優等生の女の子と結婚し,と家族の団らんシーンも嫌みなく,こちらまで引きずり込まれるような良いチカラを持っていて,ああ,この若者達が無事でいます様に!と祈らずにはいられないのです。

こう説明すると,いつもの警官ドラマだとお思いでしょうが
臨場感と二人の同志愛が優れた画面で描写され,そんじょそこらの陳腐な映画と違います。

そして私めは「ウオッチ ユア シックス」と言うのがコップ言葉(お巡りのスラング)で「けつ(背後)に気をつけろ!」と言う意味だと知りました。ほら飛行機で右直角方向を3時,と言う様に6は後方,つまりお尻と言う意味だと。

マイケルは知的で優雅で、おだやかに,選んだ言葉を巧みに使って話をします。メキシコ訛りは役の上だけ。
2012 [ END OF WATCH ]
こう言う俳優に会うと心がほんわかしてきます。

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