NEW YORK # 5 MUSICAL CABARET
6月14日(金)夕方
今回のニューヨーク旅行のハイライト、ブロードウェイ ミュージカル「キャバレー」を観に行く日です。娘からの今年の母の日のプレゼント。
大好きなエデイー レッドメーン EDDIE REDMAYNE が主役、ロンドンの公演ではオリヴィエ賞 OLIVIER AWARD を受賞した、激演の舞台です。
大雨警報が出て来たのでこの夜のお出かけには雨傘を持って、ぺったんこの靴、マイクが適当にドレスアップした私達をお玄関で撮ってくれました。
地下鉄に乗ってブロードウェイ界隈の近くの駅で降り、プレ ステージの夕食をタイ料理店「ミター タイ」MITR THAI で頂きます。劇場に行く人々で賑わっているレストランで、おそらくワタクシはフラット ヌードルの「パッド シーユー」(?)を食べたのではないでしょうか? 次に見る舞台の期待感と興奮で何を食べたのかなど、全く覚えていないのです。
隣のテーブルの母親と小さな娘さんがやけに大声で注目を浴びようとしていたのだけは記憶にありますが。
劇場のトイレはいつも混んでいますからこのレストランで済ませようと行くと同じことを考える人々の行列、違うところにあるトイレを発見してここはすぐに入れました。飛行機の機内などでも列が出来ている時は違う箇所のトイレを探すと大丈夫と言うテクニックに長けているワタクシです。
レストランを出てすぐ大雨が降り出し持参の傘を指してオーガスト ウイルソン AUGUST WILSON 劇場に向かいます。入口のセキュリテイーが駄目だと言うのに娘がロープを乗り越えて入ろうとして結局 入れず、ワタクシは娘にそう言う事をする程、混雑していないのに、とマナーを正しましたがニューヨーク生活に慣れている娘は全く気にかけていない様子。
正面でなく、端っこ入口からお客様が入ります。真っ暗なカーテンに囲まれた道を行くと小さなグラスにドイツのお酒、シュナップスを注いでくれてそれを持って更に奥に進むと何やら横っちょでダンサーたちが奇妙なダンスをしているのが目に入ります。ベルリンのキャバレー、キットキャット クラブ KITKAT CLUB に入っていく雰囲気づくりで、ここでワタクシはグラスを壁際の段の上に置き、体を起こす際に低い天井に頭をドカンとぶつけてしまい、しばらく目から花火の状態でした。暗い上に、お客様たちの興奮の渦巻き、ダンサーたちのクレイジーな動き、などなど、まさに戦争前のベルリンのカオスに流されてしまった、とでも形容しましょうか。そばのバーから娘に氷を取ってきてもらってハンカチに氷を包んでズキズキする頭に当てて席を探します。
2階の正面のとても良い席で周りを見渡すと満席、舞台際の席は「キットキャット クラブ」に居るようなテーブルセッティング、舞台は死角がない丸い360度のタイプで、出演者たちは常にあらゆる角度でポーズを決めていました。
プログラムに今夜の代役のお知らせが入っていて、主役のサリー ボウルズ SALLY BOWLES を演じる英国女優、ゲイル ランキン GAYLE RANKIN は欠場、代わりに若い ギャビ カンポ GABI CAMPO が演じるそうです。
ドイツ語の「いらっしゃいませ!」の「ビルコーメン!」WILKOMMEN という掛け声とともに エデイーの司会者が登場、ドイツ語、フランス語、英語が混じり合ったセリフをドイツ語のアクセントでずっと喋るので、かなり聞きづらいのですがもうここは魑魅魍魎の世界ですからビジュアルなステージを楽しむだけで充分。
昔の映画「キャバレー」(72)でオスカーを受賞した司会者役のジョエル グレイ JOEL GREY とサリー役のライザ ミネリLIZA MINNELLI と違って、この舞台の司会者は、さらに不気味でその効果を増すために手の指先を痙攣するように動かすエデイーのテクニックがパワフルです。ミネリの若くて、無知なサリーと違ってここでのサリーは男性を利用するエロテイックで、グロテスクな存在、ベテランの女優、ビービー ニューウイス BEBE NEUWITH の中年の悲哀がドラマにリアリテイーを添えていました。
エデイーの激しい衣装チェンジが司会者から囚人、悪魔のようになったり、ナチのシンパサイザーになって、輝く金髪のかつらにエレガントなスーツと彼のサバイバルの変化を見せてくれます。
代役のギャビは、強い声で激しく歌って素晴らしいパーフォーマンスを見せてくれました。
アンコールの時、エデイーがしっかりとギャビーの手を握って一緒に登場、二人で何度もお辞儀をしているのがエデイーの新人に対する繊細で優しいサポートを見せていて、涙が出るほど感動的で微笑ましい光景でした。
劇場を出ると雨は止んでいて、しばらくポスターと一緒に写真を取っていると非常口(?)からエデイーが出て来て、押し寄せるファンの中から数人にサインをし、近寄った大きな車に飛び乗って去って行きました。
舞台の興奮を心身に貼り付けたまま、しばらく歩いて地下鉄に乗ってブルックリンの家に無事到着。
一生の思い出に残るユニークで不思議な展開の舞台でした。
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劇場の前。 |
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興奮しています。 |
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娘も紅潮しています。 |
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お出かけ前のショット。 |
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この夜の代役のリスト、主演女優がギャビ カンポに代わっています。 |
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娘の横の人も意識して入っています。 |
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エデイーの司会者役。このとんがり帽子がどうやって頭に張り付いているのか不思議? |
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ナチ時代に突入、司会者が徐々に「悪」に感化されていきます。 |
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エデイーの アクロバテイックなダンスがすごい! |
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配役表 |
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主役のエデイーとゲイル ランキン |
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サリー ボウルズ役のゲイル ランキン |
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悲哀を醸し出す中年カップル、ステーヴン スカイベル と ビービー ニューウイス |
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ロンドンで稽古中のエデイー |
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2022年4月22日 オリヴィエ賞受賞のジェシー バックレーとエデイー |
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代役を見事に務めたギャビ カンポ |
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タイ 料理店「ミター タイ」 入口 (ネットから) |
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「ミター」店内 (ネットから) |
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「ミター」バーのカウンター (ネットから) |
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「ミター」2階からの眺め (ネットから) |
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