PATTI SMITH

May 31, 2021

PATTI SMITH

歌手のページが続きます。

パテイー　スミス。アメリカの社会派歌手と言うとちょっとピューリストから睨まれそうですが、常に社会の不正を糾弾したり、マイナリテイーを支持している姿勢は、一般的な人気歌手とは一線を隔てるでしょう。

「パンク　ポエト　ローリエイト」PUNK POET LAUREATE （パンクの桂冠詩人）と言うタイトルで呼ばれても居ます。

ブルース　スプリングテイーン BRUCE SPRINGSTEEN と組んでの、「ビコース　オブ　ザ　ナイト」BECAUSE OF THE NIGHT（７８）は世界中で大ヒットした曲でした。

インタヴューする機会を得たのは「インサイド　ルイン　デイヴィス」INSIDE LEWIN DAVIS （１３）と言うコーエン兄弟 COEN BROTHERS の映画でした。映画音楽は、T. ボーン　バーネット T BONE BURNETT と英国のミュージシャン、マーカス　マンスフォード MARCUS MANSFORD が手がけていますが、ニューヨークの鄙びた界隈にある劇場で小さなコンサートが上演されて、この時パテイーがゲスト出演したからです。

当時彼女は６７歳でしたが、全くお化粧っ気がなく、髪の毛はほとんど真っ白でツヤもなく、おそらく完全な仕立てのスーツを着ていたものの、８０歳ぐらいに見えました。

一旦話し始めると声も表情も少女のようで、初々しく、業界のベテランの貫禄とか年輪など全く身に付いていない「部外者」のようなのが、新鮮で、ああ、こういうパーソナリテイーだからこそ、いつまでも詩人でアーテイストなのだなあ、と思ったものです。

１９４６年１２月３０日　イリノイ州のシカゴ CHICAGO に　パトリシア リー　スミス PATRICIA LEE SMITH 　として機械工の父親とジャズ歌手の母親のもとに４人姉弟の長女として生まれ、小さい時から音楽に浸って育ちました。両親は「エホバの証言」教の信者で、子どもたちも着いていったそうですが成長してからはチベット教に興味を持ち、フェミニズムが彼女の「宗教」とも言えると白状しています。

パテイーの恋人で最も有名なのが、写真家のロバート　メイプルソープ ROBERT MAPLETHORP でしょう。１９６７年から約２２年間、ゲイの彼と一時は恋人同士、心の友、戦友、パートナー、として深い愛情を交歓していました。１９７０年代のマンハッタンでのふたりの生活を描いた著書「ジャスト　キッズ」JUST KIDS は２０１０年に出版されて、ベストセラーとなってます。

「お互いにまるで子供のようにナイーブでいたずらばかりしている暮らしだったから「キッズ」という題名にしたのです」とパテイーは語っていました。

ロバートがエイズで８９年に亡くなってから、パテイーはしばらく半引退の生活を送っています。

ミュージシャンのフレッド「ソニック」スミス FRED SONIC SMITH と結婚して、息子と娘が生まれてしばらく家庭を優先してもいました。スミスという名前の男性だったから、苗字を変えなくて良いと思って結婚したのよ、とジョークも彼女ならでは。

１９９４年にフレッドが心臓発作で急死、これから、パテイーは創作活動とコンサートに集中しています。

数々の勲章や名誉博士号などを授与していますが彼女自身は生まれた時のままのような純粋で自然な姿勢を保って、誰に対しても優しく、公平に接して、それが又、彼女のパーフォーマンスに反映されているのだな、と舞台を眺めながら思ったのでした。