JACK  PALANCE


ハリウッドきっての悪役ナンバーワン,ジャック パランスに会ったのは「シテイー スリッカーズ」(91)とその続編 (94)とゴールデングローブのパーテイー会場
の3回でした。もう毒気が抜けて,ダンデイーなジェントルマンで,背が高くて(193センチ),赤ら顔が楽しげな、パブでビールをぐびぐびしながら 昔話を聞きたいような雰囲気に溢れてました。

実は今日は私めの60何回目の誕生日で,一番好きなスターのことを書こうと思ったのですが,どうも独りに的を絞ることが出来ず,えい,亡くなっても,強烈な印象を残したパランスにしようといつものへそ曲がり選択なのです。

「シェーン」(53)の悪党振りが一番有名でしょうが
「突然の恐怖」(52)も凄く,この2本の役はアカデミー助演男優賞にノミネートされてます。

もちろんアラン ラッドのシェーンは曲も素晴らしく,少年の心を揺さぶりますが,ジャック扮するジャック ウィルソンの異常なまでの嫌悪が正と邪の真っ向からの対決となって迫力がありました。

「突然の恐怖」は心理スリラーでした。ジョーン クロフォード扮する有名な劇作家の駄目亭主のジャックがこの妻を殺して若く美しいグローリア グラハムと一緒になろうと企むドラマで,彼の持つ凄味が活かされてます。

ウクライナ系で,父親は炭坑夫(後に黒肺病で死亡), 1919年2月18日にペンシルヴァニア州 ラテイマーと言う鉱山の街に生まれフットボールの奨学金でノースカロライナ大に入るも,2年で中退,クウィックキャッシュ
稼ぎにプロのボクサーとなり,15戦12KOと言う成績の後,ヘビー級のジョー バクシと1040年12月17日に対戦,4ラウンドでノックアウト負け,そして第2次大戦が始まり,空軍に入隊.搭乗したB−24爆撃機の火災で顔にやけどを受け,整形手術をして あの顔を得たのですと.パープルハート勲章を授かってからスタンフォード大学に入り,ジャーナリズムと演劇を学び,しばらくはサンフランシスコ クロニクルズのスポーツライターだった
と言いますから,頭の良さがあの悪役振りに相剰効果を与えたのでしょう。

演じている俳優の頭が余り良くないと悪役も単純で鈍なタイプになりますものね.2枚目役は頭が悪くても何とかこなせそうですが。

「地獄の戦場」..こう言う題名が古くさくて,懐かしい!(50)では自分の経験を生かした元ボクサーの海兵隊と言う役どころをリチャード ウィドマーク(!!実は彼こそ私めの大大好きな悪役スターであります)扮する隊長のもとで戦うのでした。
「暗黒の恐怖」(50),先に書いた「突然の恐怖」,「蒙古の嵐」(61),「激戦地」(69)とジャックの映画のタイトルが彼の持ち味を物語っているような。

当人は気さくで,冗談が上手な素敵なロマンスグレイでした.絵を描いたり,詩を作ったりの洒落たセンスと牧場主の野性的な面の両方がバランスよくマッチしていました。
千エーカーの牧場で牛を飼っていたのに,何と菜食主義だったのですって!

「シテイー スリッカーズ」(91)でアカデミー賞を獲った時,舞台で片腕腕立て伏せを100回だかして見せて
会場が総立ちになったのはアカデミー賞の名場面によく出て来ます.あのときジャックは72歳でした。

「シャイニング」(80)の主役,ジャック トランス役を原作者のステーヴン キングはパランスに演じて欲しかったとか.偶然か名前も似てます.言うまでもなくジャック ニコルソンが怪演しましたが。

「自分がしていることはほとんどゴミ同然。」
「人の行動の基本は重力と欲望。」
「昔は6フィート4インチだったのに,歳を取って,背が曲がって6フィート3インチになってしまった。」

1991  [CITY SLICKERS]
等など人生を斜めに見る視線が素敵なジャックは2006年11月10日に87歳で亡くなりました。



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