SUKI OF MULHOLLAND

 SUKI  OF  MULHOLLAND


これはワタクシがいつか書こうとしている愛犬のお話。

チャウチャウ ミックスのスキはロスアンジェルスのメキシコ人街で生まれ、そこでハンスの友人のドイツ人に拾われ、このドイツ人、フレッド FRED の仕事場のジャンクヤード、JUNKYARD つまり、屑やの裏庭を警備するために鎖に繋がれて育ちました。

ですから、甘えるという習慣がなく、他人が近寄ると牙を出して、獰猛な唸り声を挙げ、触ろうとでもしようものなら、パクッと噛み付くという習慣が身に付いて成犬になったのです。

ストリート ドッグ STREET DOG (つまり、野良犬)ですからタフで、怖いもの無し。

骨付きのチキンもバリバリと食べて一度もお腹を壊したことはないし、6匹ぐらいのコヨーテの群れに出くわしても襲いかかるばかりで、絶対に尻尾を巻いて逃げたりしません。

フレッドを訪れたハンスが可哀想に思ってスキを連れて帰ったのがワタクシとスキとの始まりです。


当時私たちはマルホーランド MULHOLLAND という大きな通りに面した家に住んでいました。

まずスキは裏庭に立派なウンチをしてテリトリーを確立、家の中を隅々までチェックして、背後に壁があるところに寝転びます。オープンの場所では寝ません。ガンマンみたいに後ろに壁がないと安心できないのでしょう。


全くしつけなどという代物を身に着けてないスキはその野蛮で野卑なところがユークな魅力でした。

「触らないで下さい!」という警告を出しても、スキは意識的にでしょうか、愛らしい表情を浮かべるので、まず隣のおじさんの友達が「可愛い犬だね!」と手を出して、その手をがぶっと咬み、家に来た友達の殆どが手を差し伸べてしまい、ガブッと言うほどではないにしろ、ピッと噛まれてしまったのでした。狂犬病証明書を見せたり、色々と苦労したものです。

ほんのしばらくだけ、何もしないで無視しているとスキの方から友情なり、お近づきの興味のしるしを見せるのですが、すぐさま、触られると駄目なのです。野良犬本能は死ぬまで消えませんでした。

庭師のパークさんも何度か噛まれて平謝りに謝ったものでした。もちろん郵便屋さん、デリバリーの人々などとは絶対に接触しないようにダブルドアーでブロックしていました。


粗野で野蛮な番犬と言うのはそれなりに非常に愛おしいものです。ご主人に近づく危険を全て自分で防ごうとするのですから。中世のお姫様になったような気分を味わえます。


散歩の時、近くの丘の上ではリーシュを放したものでした。そうするとモグラを穴の中まで追いかけ、リスが逃げ登った木をいつまでも叩いたり、茂った樹木の中に飛び込み、ある時は藻のために緑色になった水面を地面と勘違いして池に飛び込んだり、それはそれは野蛮な行動をとことん楽しんでいました。


私達が留守の時にスキが私たちのベッドの上に乗っているのを娘が目撃した事件(数回ありました)、旅行に連れて行った時、コンサートなどから帰ってくるとホテルの部屋のベッドの上に泥が乗っていてスキが登っていたのが丸分かり、だったり。あれほどヤクザっぽく振る舞っていても、寂しがり屋さんなのが覗けたのも懐かしい思い出です。


17歳と半年と長生きしたのはワタクシの1日2回、1時間の散歩(特に丘に登っての自由行動)のせいでしょう。


娘とスキ。









母とスキ。

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