ANDRE EISERMANN

ANDRE   EISERMANN

おそらくアンドレ アイザーマンの名前を知っている人は少ないでしょう。ドイツでも余り有名ではない俳優ですが,「カスパー ハウザー」(93)と言うドイツの孤児と公爵の息子が取り違えられて,数奇な運命を辿るドラマに主演した時は,ハリウッドさえもアンドレの将来を楽しみにしたのでした。風変わりな容貌,小柄な体,くしゃくしゃのブロンドの髪はちょっと小人のような印象を与え,当時非常に評判だった「パーヒューム」(香水)と言うベストセラー小説が映画化したら,彼こそ最適と言われてました。
アンドレは2年後に「ブラザース オブ スリープ」(95)と言う再びの奇妙なドイツ映画に主演し,田舎の教会で突然オルガンを天使のように弾く天才的な音楽家が全く性的な関心無しに若い娘に恋し,その恋が拒絶された時に山にこもって,絶対に眠りにつかないで死ぬと言う方法をとるというストーリーで、,アンドレの不思議な存在がぴったりで,この時もハリウッドから注目されます。
しかし「パーヒューム」は原作者,パトリック サスキンドの融通性の無さで暗礁に乗り上げ,アンドレはドイツで低予算映画に出たり,故郷の劇場で舞台を勤めたり、と言う地道なキャリアをたどるように。
1967年10月28日ドイツはフランクフルトとヂュセルドーフの間にあるワームズと言う街に,カーニバルのパーフォーマーの家に生まれました。曾祖父は「世界で一番強い男」と言うキャッチフレーズで客を呼び,祖母はアクロバットと言うか,骨のない体、と言った極端な体の曲げ方をして売ったりしたそうです。
93年と95年にロスアンジェルスでアンドレに会いましたが,ドイツ人らしくない,軽妙で,ユーモラスな面白い俳優でした。「パーヒューム」の映画化を彼も心待ちにしていたようですが,やっと2006年に「パーヒューム ストーリー オブ マーダラー」と言う題で映画化が成ったものの英国の資金が入って,主役は英国人俳優のベン ウイショウにアラン リックマン,監督はドイツのトム テイクワー隣、アンドレの希望は水の泡と成ったのでした。どんな匂いも嗅ぎ分ける,しかし自分の体の匂いが全く無い男の話は原作では非常にスリリングで面白かったのですが,映画の方は,まさに無味無臭の退屈なものになってました。

ドイツの高級老舗ホテルチェーンにアドロンと言う有名なファミリーがあって,その家族のひとりがパーシー アドロンと言い,良くある名家の反逆児の様でひとりで妙ちくりんな映画を作っています。「バグダッド カフェ」(87)は中でもカルト映画として有名ですが,2001年位「ハワイアン ガーデン」と言うロスアンジェルスの場末の街のアパートの人びとの生態を描いた映画があって、ここにアンドレの名前が出ていました。一応映画を見たのですが全く内容も思い出せないどころか,アンドレが出ていた事さえ知りませんでした。
当人はハリウッドなどに執着せず,ドイツとスペインのマヨルカに住んで,マイペースで暮らしている様子。ヨーロッパ人の自分の生活を楽しむスタイルこそ,ハリウッドで,しのぎを削って、あくせくするより遥かに上質の生き方だとは思いませんか。
1995「ブラザース オブ スリープ」




ーテイーで

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