ANGELA BASSETT

ANGELA  BASSETT


イエール大演劇科卒の知性を備え、シャープな目鼻立ちの美女,アンジェラ バセットは黒人女優の中では,もちろん、ハリウッド中の女優の中でも一目も二目も置かれているベテラン女優。歌手テイナ ターナーを演じた「テイナ」(92)ではダイナミックなステージだけでなく,コンビを組んだアイクとの痛ましい生活などを鋭く見せて,アカデミー賞候補に。
2013「アメリカン ホラー ストーリー」
この時ビバリーヒルズのこんもりと木々が茂った最上級のホテルの一部屋でワン オン ワンのインタヴユーがあって、エレガントに座っている彼女に始めて会いました。プロモーターがこう言うハイクラスの場所を使う事が既に彼女のトップに並ぶステイタスを示すのです。

「実際にテイナに会って,カツラのかぶり方からメークの仕方,歌い方から踊り方まで,手取り足取り,楽しく教えてもらい,何よりも彼女がアイクに蹴られ殴られ,それを濃いメークで何とか隠してステージに立つ気持ち,それでも舞台への情熱があったからこそ,家庭内暴力に耐えられたと言う話をお互いに涙ながらに語り合ったのです。ですから私はテイナの華麗なパーフォーマンスはもちろん,暴力は我慢してはいけないと言うメッセージも伝えたかったから,この役を全身全霊を込めて演じました」

野性的なルックスがテイナに似ている事,踊れた事で選ばれたそうですが,まさにアフリカのジャングルを駈ける女豹のようなスピードが感じられる,パワフルな演技が見られます。

この前の年の92年には「マルコム X」の主人公(ダンゼル ワシントン)の妻の役、「ローザ パークス ストーリー」(02)では米国の人種差別に挑戦して,後部座席に座らず,バスの前の席に座った黒人女性ローザ パークスの役も手がけ、アンジェラの目的を持っての映画選びと舞台での冴えた演技は評判になり,イエール大で知り合ったコートニー バンスと言う俳優と97年に結婚して,ハリウッドの知的エリート カップルに。

ハリー ベリーがオスカー賞を獲った「チョコレート」(01)の役をアンジェラは,全裸になりたくないと断ったそう。こう言う役選びは俳優たちの運命を変えてしまいます。

最近会ったのは,テレビシリーズ「アメリカン ホラー ストーリーズ」(13)で南部のブラックマジックを操る怪女をコミカルに,楽しそうに演じている時。このシリーズは大女優たち,ジェシカ ラングやキャシー ベイツを次々に出演させて,その大芝居っぷりをホラー効果に使い,コミカルな味も添えて見せているのです。
同時にクリスマス シーズンにつきもののイエス誕生劇の黒人現代版「ナテイヴィテイー」(13)にも顔を出して、貫禄の程を披露。
ふっくら型のオプラ ウインフリーやオクタヴィア スペンサーと違って,細い目鼻立ちに,スリムな体のアンジェラは
アクシヨン映画での大統領のブレーンとか,警察署長と言った勇気とオーソリテイーのある役を多く手がけて,白人の偉い海軍大将などに平然と文句を言ったりし、我々マイナリテイーの女性たちの溜飲を下げてくれるのです。

アンジェラの事を詳しくキネマ旬報 11月下旬号に書きましたので,もっとご興味のある方はご覧下さい。

1992 「テイナ」

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