JESSICA   CHASTAIN


私めの独断と偏見で判断すると今度のアカデミー主演女優賞はジェシカ チャステーンに決まりでしょう。

昨夜、ニユーヨークから帰って,あちらでは大勢のスターに会ってきたのですが,ジェシカの「HEIRESS」(女相続人)のブロードウェイの舞台が一番,印象に残っているのです。もちろんこれは舞台ですからトニー賞の部門ですが,彼女のモメンタムが最高。
既にナシヨナル レヴィユーアー賞を受賞の「ゼロ ダーク サーテイー」(12)でのCIAエージェントの役は華奢で女らしさを失わずに,あくまでオサマ ビン ラーデンの居場所を確信して,上司に訴える姿が何とも頼もしく,知力がみなぎって,思わず抱きしめたくなるような,素晴らしい演技なのです。

ちなみに「ゼロ ダーク サーテイー」は軍隊用語で夜中の12時半,オサマが死んだ時間を指しているそうです。

去年(2011)はジェシカの当たり年でした。
「テイク シェルター」ではマイケル シャノンが竜巻が来ると信じて地下壕を掘る夫のそばで,半分あきらめて静観している妻の役。
「ツリー オブ ライフ」では,ブラッド ピット演じる自己中心の夫の横で息子達をかばう妻の役。
「ヘルプ/心がつなぐストーリー」では南部の外見は安っぽくけばけばしくとも,心は優しく,黒人のヘルパーと親しくなる寂しい妻の役。
「英雄の証明」では,監督主演のレイフ ファインズと共演。「コリオラノス」と言うシェイクスピア劇の現代版の映画化でした。
「ワイルド サロメ」ではアル パチーノさえたじたじのサロメの役。
「キリングフィールズ/失踪地帯」では,ヘレン ミレンが演じるイスラエルのモサッドの女性スパイが若かった頃の役をファイトシーンも凄まじく激演。

と6本の映画で,それぞれ主役の男性の邪魔にならない様に,しかし、しっかり自分の位置を保っていると言う難しい演技を見せました。

1977年3月4日カリフォーニア州の州都,サクラメントに生まれ,父親は消防士,母親は菜食レストランのオーナーシェフ、小さい時から踊りや舞台が大好き,ジュリアード音楽院を首席で卒業,古典劇「桜の園」「オセロ」など多くの舞台を経て,映画デビューは08年の「JOLENE」。

今年はまず「ローレス」(12)と言う飲酒法時代のギャング映画でシャイア ラブーフの相手役。

そして「女相続人」の舞台では,魅力の無いウブな金持ちのお嬢様が,資産目当てのハンサム男に振られ,父親は死んだ美人の妻と娘を比べてはため息をつく,と言う境遇から,独立精神を養い,毅然とした女主人になって行くプロセスを鮮やかに打ち出して,舞台の水が合うのだなーと感心しました。美青年役は大評判の英国テレビドラマ「ダウントン アビー」で同じような、しかしこちらは貴族の美青年を演じているダン ステイーヴンス,父親は老獪役者デヴィッド ストラザーンでした。

1949年の映画「女相続人」はオリヴィア デ ハビランドが主役,美青年はモンゴメリー クリフト,父親はラルフ リチャードソンでした。デ ハビランドは美女すぎたもののオスカー賞を獲りました。

その後97年の「ワシントン スクエア」(これが原作者ヘンリー ジェイムスの原題)ではいつもむすっとしているジェニファー ジェイソン リーが女主人公を演じて,アルバート フィニーが父親,ベン チャプリンが求婚者と言うキャストで,かなり楽しめる作品です。

さてジェシカですが,デートなど大学時代から興味が無く、
演劇一本槍,今は3匹の犬と菜食主義の毎日を送っているとか。
「有名なスターなどになりたくありません。顔など知られずに,色々な役で変身し,その人の血となり肉となるのが,私の極上の生き甲斐なのです」


2012 「ZERO   DARK THIRTY」
赤毛のアンを思わせるジェシカの愛犬と一緒の静かな世界を何とか身を以て守ってあげたくなります。
2012   "Heiress"


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