CHER


本名はシェリリン サーカシアン ラ ビエーとアルメニアやインデイアンなどの血が混ざった長い名前です。

シェールに初めてあったのは,「「イーストウィックの魔女たち」(87)でジャック ニコスソンを相手に魔女を演じた時。まだ整形手術も初めの頃で,長めの顔と長い黒髪,それにかなりの長身で,舞台映えする,歌舞伎の女形のような性別の分からない妖しげな魅力がありました。

18歳でソニー ボノと結婚し,「アイ ガット ユー ベイビー」などの大ヒット曲を出した歌手でしたが,81年に
ロバート オルトマン監督の舞台に出て,そのままその映画化に出演。タイトルは「Come Back to the Five and Dime, Jimmy Dean, Jimmy Dean」日本語の題は「我が心のジミー デイーン」(82)。

1990「恋する人魚たち」
「マスク」(85)も良かったし,「月の輝く夜に」(87)のシェールは,ニコラス ケイジを相手にお互いに人並みから外れた同志の愛情を新鮮に映して,アカデミー賞を受賞。この授賞式の黒いレースのスケスケの衣装は,まるでレビューショウのフィナーレに階段から降りて来る羽飾りの踊り子のようでした。オスカーの歴史に残る斬新な?ドレスとして有名です。


「ムッソリーニとお茶を」(99)の会見では,独特のしやがれ声で,ケラケラと笑いながら、
「50歳を過ぎると化け物っぽくしないと注目されないのよねー。ハリウッドは中年女優が目の前に立っていても,後ろの若いぴちぴちを観察しているのですもの。一人暮らしにもなれて、さばさばしているわ」
と女帝のごとくと言うか,丸山明宏のようでした。

一番最近 会ったのは,ラスベガスの「ファイナル ツアー」で2009年でした。彼女の「引退ツアー」は,「閉店出血大セール」で,何度も繰り返し,もう業界のジョークでもありましたが,この時は
「もう63歳,階段を唱いながら降りたりするのが怖くて」
と正直に告白。もっとも舞台の上では,常に若い美男子のダンサーがシェールにくっ付いて,転んだりしない様にエスコートしていましたが。

この時ちょうど「バーレスク」(10)と言う映画を撮り終えたところで,7年ぶりの映画出演でした。

「デジタルで顔を若く変えてもらえるかと思ったら,主役のクリステイーナ アンゲラの引き立て役だから駄目ですって!!」
などと相変わらず 自己否定のジョークを連発。妙に自己主張をしないで,自分を客観的に見る,実に頭の良い人なのです。
翌年「バーレスク」公開の前に再び会見がありましたが,観客 (と言っても記者連中)が前に居ると,すぐにショウマンシップが発揮されて,楽屋裏話ふうのジョークが飛び出て来る楽しいスターです。
2009 ラスベガスの舞台裏
ちなみに1946年5月20日,カリフォーニア州エルセントロ生まれです。

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