LOU   DIAMOND  PHILLIPS


何と言っても「ラ バンバ」(87)のメキシコ人歌手,リッチー ヴァレンズ役がルー ダイアモンド フィリップスの最も有名な役だったせいで,私なぞは本物の歌手のヴァレンズの顔など思い出せません。

目下発売中の「キネマ旬報」にも書きましたが,ルーはフィリッピンの米国海軍基地スービックベイで生まれました。
父親は海軍の技師で,母親は中国系フィリッピン人,1962年2月17日に生まれましたから,51歳になったばかり。
父親が第2次大戦の海兵隊のヒーロー,ルー ダイアモンドの名前をとったそうで,フィリップスは継父の名前ですと。

1988「ヤング ガンズ」
「ラ バンバ」でインタヴューした時,この英雄のダイアモンド氏がパサデナ市で暮らしていて,とある記者が電話帳で新米スターの番号かとダイアルを回したら,名前の由来の主が出て来たと新米のスターに告げたそうで,「少し暇ができたら,是非会いに行きたい」と殊勝な事を言っていたのです。

ところが真面目でリサーチ能力にたぎるキネマ旬報の担当記者氏は,しっかり調べて,英雄はとっくの昔に亡くなっている事を突き止めたのです。わたくすはキネ旬の読者でそこ迄調べて文句を言う人など居る訳ないから,このままで良いと言いました。もちろん担当記者氏が,事実を曲げる事は出来ません,と主張して,好い加減なわたくすは,新米スターの殊勝なコメントのあたりを変える事に。

インターネットあればこその,調査ですが,わたくすはデータが不確かなときは,その部分をすっ飛ばして書くと言う極めて,怠慢で,好い加減な物書きの端くれです。

その昔東大出の女友達が「エリートはしつこく調べる能力がある」とわたくすに宣言しました。まさにそのとうり。わたくすは典型的デリートなのです。

さてルーですが,つい2日前,テレビを見ていたら「ミリタリー チャンネル」と言うのがあって,ここで彼が真面目な顔で元軍人にイラク戦争やら,ベトナム戦争の体験談を聞いているのです。軍のヘッドクオーターのように壁には,電気が点滅する世界地図などあり、上級将校の重要な会合のような雰囲気の中で,ルーは流暢に軍用語を操り,作戦の背景など,したり顔で質問し,何となく戦争ごっこみたいで,おかしかったと白状しましょう。

テキサス州で育ったルーは優秀な成績で高校を卒業,イェール大や海軍兵学校からの奨学金を拒んで,友達と一緒にテキサス大へ。卒業してから俳優業を目指しながら,企業ヴィデオの制作会社で働き,そこに「ラ バンバ」のオーデイシヨンの話が舞い込んだのです。

2012  「 LONGMIRE 」
「ヤング ガンズ」(88)ではインデイアンの若者の役,ブロードウェイの舞台「王様と私」(96)ではシャムのキング役,等々異色な役を手がけて,現在ヒットテレビシリーズの現代西部劇「ロングマイアー」(12−_)では主人公、ウオルト ロングマイアーと言うワイオミングの保安官の親友でヘンリー スタンデイング ベアー(!)と言う名前のインデアン (ネイテイヴ アメリカン)のサルーンのオーナーと言う役を気楽そうに演じています。主役はオーストラリアの俳優でロバート テイラー(!,ちょっと「ララミー牧場」のロバート フラーに似ています)と言い,彼のアシスタントになる婦人警官のケイテイー サッコフ の喜劇的な立ち居振る舞いがとびきり軽快で面白い,今時珍しい大人の西部劇です。

原作はクレーグ ジョンソン、「WALT LONGMIRE MYSTERIES」と言うシリーズです。師匠のスタンデイング ホースのためにご参考まで。

「肌がダークな役は何でもござれ。メキシカンからボリビアン,タイ人からアジア人と僕は抵抗なく受けますよ。もうスターの座を失って長いから,そう言う事にこだわったりする子供染みた考えは持ちません。父の影響で軍事に興味があり,退役軍人の行事を手伝ったり,首都に行って,戦傷者たちの問題を訴えたりしている。それからフィリッピン人のハリウッドスター第1号として,米国フィリッピン協会のイベントにも出席したり」

と率直な話し振りが非常に爽やかでした。
ポーカーのチャンピオンでもあり,世界ポーカー ツアーなどにも参加して,賞金を稼いでいると言うのもいかにも頭の良い,ちょっと危険な味が好きなルーの性格を見せていますよね。

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