BEN WHISHAW 2015

BEN   WHISHAW    2015

新ボンドシリーズ「スペクター」(15)で再び,面白い仕掛けのついた車や銃や時計の発明者,「Q」を好演しているベン ウイショウ。
余り積極的に映画にでるタイプではなく,ひっそりと舞台で活躍しているものの,ボーイッシュなルックスとカミングアウトしているゲイ俳優の詩的な繊細さが日本でも人気上昇している俳優ですが,今年はもう1本ケアリー マリガン主演の「サフラジェット」(15)で投票権を獲得する女権運動に走る妻(マリガン)を拒否する保守的な夫を好演しています。
今回のQは出番もぐんと増え,ボンドとのやり取りがコミカルで,二人の仲の良さがしっかり出て来るシーンがたくさんあります。ボンドの要求にぼそぼそとオタクっぽく答えるQの態度が,緊張を和らげて,クッションの役目を果たして居ると言いましょうか。

ロンドンの会見には怒濤の様に濃い黒髪がもっこりと顔を縁取り,細い顔と華奢な体が見るだけで虚弱そうで,おまけにしゃべる声も又,か細くて、おずおずと話すと言う,これで舞台俳優なのかと疑問が湧いてきます。
これは彼の英国の紳士の原点を行く,謙虚と遠慮と出しゃばるのは恥ずべき行為と心得ているからで,ひとたびシェイクスピアの王子などを演じると朗々とした声が出て来るのです。
ベンを見ているうちに,英国演劇界の最高の俳優と言うレッテルを貼られているマーク ライランスを思い出しました。二人とも,小柄でルックスも10人前の「負」の存在を利用して,主演者を光らせ,同時に自分の出際を心得つつ,じっくりと名演技を提供するのです。

「あなたからマーク ライランスを思い出しますが」
と聞くとにっこりと微笑んで,嬉しそうにこう答えてくれました。
「マークは僕のもっとも尊敬している名優です。今ロンドンで公演中の「フィネレリと王様」の評判を聞いていますから早く観に行きたい。彼の舞台は殆ど見逃していません」

1980年10月14日 英国はブラッドフォードシャーのクリフトン生まれ,父御はコンピューター技師だと言うもののベンはQと大違いでテクノロジー音痴だそうです。
トレヴァー ナン演出の舞台「ハムレット」で主役を演じて絶賛され、映画「パーフューム・ある人殺しの物語」
(06)の主役に抜擢されてます。ドイツの作家の「パーフューム」は長いこと映画化が企画されてましたが主役にふさわしい俳優が見つからず,やっとベンが手がけたものの,あまりヒットしなかったのがとても残念でした。
ドイツ人の俳優,アンドレ アイザーマンがこの役にぴったりだと思ったのですがネームヴァリューが弱くて駄目でした。
わたくしが大好きな大河テレビシリーズ「ブライズスヘッド リヴィジテッド」邦題「華麗なる貴族」(81)(これでジェレミー アイアンズがスターとなったのです)のリメークの映画版「博愛と友情」ー何とつまらない題名なのでしょうか!(08)では大金持ちの貴族の御曹司,セバステイアン フライを演じました。主役のマシュー グッドをほのかにゲイセクシュアルに慕う,頼りなくて,ばか騒ぎが大好きな愛すべきプレイボーイの役です。
アビー コーニッシュと共演した「ブライト スター」
(09)では19世紀の有名な詩人,ジョン キーツを息も絶え絶えな重い肺病の若き天才として演じていました。

英国でまもなく放映される「ロンドン スパイ」(15−)と言うテレビシリーズでは,プレイボーイの男(ベン)がふと知り合い,恋に落ちた相手(エドワード ホルクロフト)が実はMI−6のスパイだったと言うゲイのロマンスとスパイのドラマで、これも早くぜひ見たい作品ではありませんか!
こう書いて来るとベンはゲイの役を頻繁に演じていますが
2012年にはオーストラリアの作曲家,マーク ブラッドショーと同性婚をして,今は
「とびきり幸せです。ゲイ等と公表するのは役者には関係ないものの,肩の荷が降りた様な気もします」
とコメントしています。

2015「スペクター」神妙にテクノロジーを行使しているQとボンド


2009「ザ ブライト スター」

LONDON 2015  SPECTRE


2009「ブライト スター」左はアビー コーニッシュ

2006「パーフューム・ある人殺しの物語」

2006「パーフューム」ダステイン ホフマンと


2008「博愛と友情」右はマシュー グッド




新テレビシリーズ「ロンドン スパイ」から右はエドワード ホルクロフト(MI−6のスパイ)

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