PATRICK WILSON

PATRICK    WILSON


「オペラ座の怪人」(04)で颯爽とした美男子のラウール役をハリのある美声で歌い上げたパトリック ウイルソンはこの時の会見で
「母はプロの歌手にしてヴォイス コーチ、父がテレビのニユースアンカーと言う家に生まれたせいでしょう,映画や演劇の会話に充ちて,将来は舞台で歌うのが夢でした」
と真剣な表情で語ってました。

ブロンドの髪に整った顔,身体と来たらオールアメリカンのフットボールのクオーターバック並で,どこから見ても2枚目の彼が,ミュージカルの「オクラホマ!」や「カルーセル」と言った古典劇に主役で出ていたと知って何となく違和感を覚えたのです。
なぜかと言うとミュージカルの世界の俳優たちは,得てしてゲイで,どこかにひねくれた雰囲気があるのが普通で,パトリックの余りの堂々とした偉丈夫ぶりと太陽をさんさんと浴びて育った健康溌剌少年ルックスが噛み合なかったからでした。
2013   「 CONJURING」
その前の年に,全米で話題沸騰だったエイズを前面に扱ったテレビシリーズの「エンジェルス イン アメリカ」(03)でモルモン信者で一見ストレートに見えるものの実はゲイと言う秘密を抱いた若者を快演して注目を得たのです。まだ無名の俳優だったため,演技力もさることながら、勇気のある挑戦だと騒がれもしました。

「アラモ」(04)のプレミアは実際のアラモ砦があるテキサス州サンアントニオで行われ,パトリックが開会式で国歌を歌い上げ,その声量と愛国心溢れる歌唱力に参列者は全員陶然としてしまった程。妙なアレンジもせズ,ストレートに,音程が難しいアメリカ国歌を堂々と美しく歌って,それは思い出に残るパーフォーマンスでした。

この映画はジョン ウエイン監督!主演の「アラモ」(60)のリメークでビリー ボブ ソーントンがウエインが演じたデイビー クロケット役、デニス クエイドやエミリオ エステヴェスが出ていて,パトリックはイーサン ホークの代役として弁護士で軍人のウイリアム トラヴィスの役を演じたのです。


2006「リトル チルドレン」
それからがパトリックの不思議や役選びで,「ハード キャンデイー」(06)の少女を追う変態カメラマン、同年の「リトル チルドレン」では,妻子が居ながらプールで会った近所の母親と情事を重ねる男と一見普通のハンサムでまともな男性が実は強い異常性を持っていると言う役を続けます。


1973年7月3にヴァージニア州ノーフォークに生まれたパトリックは,男ばかり3人兄弟の家庭に育ち,名門の高校からピッツバーグのこれも名門のカーネギー メロン大で劇場・演技を専攻,すぐにピッツバーグの市立ライトオペラ劇場に立ち,95年にニユーヨークに移って「ミス サイゴン」などのミュージカルで色々な役を手がけました。

一時はスカーレット ジョハンソンやジニファー ラヴ ヒューイットと言ったセクシーでグラマラスな若手女優と浮き名を流し,2005年に女優のダグマラ ドミンチェックと言う女優と結婚して,ふたりの息子も生まれてます。

最近では,高校時代の初恋の相手がまだ自分を恋していると信じて疑わないシャリーズ セロンに執拗に追いかけられる妻子持ちの男性の役を「ヤング アダルト」(11)で気楽に演じ、新作「コンジュアリング」(13)では幽霊などに憑かれた人々や家などに行って,霊や厄を払うエキソシストの夫婦の役をヴェラ ファーミガと怪演中。

又もや健康でハンサムなルックスの下に潜む不思議な猟奇性が活かされている役です。

自分に自信があって,教育もあり、育ちもよく,隠している秘密も無いからこそ、現代の病んだ症候群を持つ人間をじっくり手がけて,現実感たっぷりに仕立て上げる事がパトリックの挑戦なのかもしれません。
いずれにしても、見るからに病的な役者が彼の役を手がけたら,見ている方が辛すぎますものね。

大好きな歌って踊ってのミュージカルの役を常に探しているそうですが,当分は現代を反映する複雑な男性の役が続きそうです。

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