BENICIO DEL TORO 2015

September 01, 2015

BENICIO DEL TORO 2015

久しぶりに会ったベニシオ　デル　トロは相変わらずの厚ぼったい巨体に、こわそうな濃い髪、何故かいつも酔っぱらっているように目の周りを赤くして、重い存在感で現れました。間違ってもロマコメなどのオファーが来そうも無い、近寄り難い圧巻の悪漢ルックスです。

新作「シカリオ」（SICARIO）は最近稀なサスペンス　ドラマで、ベニシオはメキシコ国境で麻薬取り締まりをするパトロール隊を指示する謎の人物を怪しく、面白く、こいつは悪人なのか、それとも米国の法を助けているのか、と悩ませられる怪演を見せてます。
黒めがねに白い上着の外見はドラッグデイーラーの親分のようにも見え、１匹狼の行動が又、疑わしく、謎に包まれていて、観客の焦点をいやでも向けさせてしまうのです。

共に行動するのがエミリー　ブラントの正義派連邦官で妙な行動をとるベニシオを疑惑の目で追っているうちに，複雑怪奇な国境の状況を理解して行きます。

１９６７年２月１９日　プエルトリコに両親も祖父も弁護士に生まれ、ペンシルバニアで育ち、自分も弁護士を目指したものの演技の道に興味が移り、名演技コーチのステラ　アドラーに師事しました。
このご面相で弁護士になったら法廷で迫力勝ちしたことでしょう。
「ユージュアル　サスペクツ」（９５）で異常に存在感のある赤シャツの男を演じたり，「エクセス　バッゲージ」（９７）では場違いなロマコメに主役のアリシア　シルヴァーストーンに懇願されて出演したり（制作も兼ねた若い彼女は自分の好きな俳優を選ぶことが出来て，何とクリストファー　ウオルケンまで起用したのです！）、「トラフィック」
（００）ではアカデミー助演賞を受賞、「チェ」（０８）でのチェ　ゲバラの役も高く評価され、「エスコバー」
（１４）では悪名高いコロンビアのドラッグ王の役を激演と異形の特典を生かして順調にハリウッドを歩んできました。

「僕はドラッグに溺れる役からドラッグ取引の親分を数回、ドラッグ捜査官も数回と麻薬にまつわる全ての面を演じて来た。僕の顔を見ると反射的に麻薬！と思われているだろう」

「シカリオ」のインタヴューでは２０１１年に生まれた娘の成長を文字通り目を細めて話したり、愛犬のセントバーナード２匹が可愛くてたまらない、僕がスーツを着ると外出だと寂しがってすり寄って来る、などと言う家庭の甘い話を多少照れながら白状、少し前までは、言葉少なに肩をいからせて自分の私生活など金輪際しゃべるか、と言う態度だったのが嘘のようです。

「あー、レーザーデスクのコレクションはどうなったかって?　まだ売っているから相変わらず集めているよ」
と昔からの趣味の蒐集はしっかりと続いているようでした。