KEN TAKAKURA (1931−2014)

KEN  TAKAKURA (1931−2014)


電車の宙刷りに高倉健の最後の数日と言った記事の広告があるのを見て,ハリウッドで数回会った健さんの事を思い出しました。
最初にハリウッドに出た映画「ヤクザ」(74)ではロバート ミッチャムと共演したのですが、この時はわたくしはまだ日本,ミッチャムの大ファンでしたから映画を見ても日本人俳優の顔などほとんど見なかったと思います。
次にリドリー スコット監督の「ブラック レイン」
(89)でマイケル ダグラス,アンデイー ガルシアと共演した時,「日本のクリント イーストウッド」と言うキャッチフレーズ(当人は苦々しく思った事請け合いですが)を携えて,ハリウッドの会見に出て来ました。正直なところ,衝撃の登場をした松田優作の凄さにぼーっと見とれていたので,この時も余り情熱的にインタヴューしてません。
周囲の外国人記者達に「ジョン ウーに匹敵するアジアのスターが出て来た!」と「ラスト エンペラー」の主役を張ったジョンを引き合いに出して,ユーサク マツダ のオーラを喜んでいたものでした。
健さんは静かにインタヴューに答え,妙な質問には苦笑してまともに答えたりせず,威厳を保っていました。
この時に「色々お世話になります」と彼はていねいにお辞儀をして,お互いに名刺を交換,それ以来20年余り素敵なクリスマスカードが届くようになりました。とてもセンスの良い,デザインで,漢字でしっかりサインがしてあります。
そして「ミスター ベースボール」(92)で再び会った時は,かなり懐かしいような表情で近寄って来ました。日本にやって来たメジャー野球の選手になるトム セレックがもともとスポーツマンだった為に気さくで,誰とでもすぐ仲良くなるタイプの為に,健さんもすっかり肩の力を抜いて,とても嬉しそうでした。
ストーリーはハチャメチャ,オドロキの低俗度で,健さん扮する野球監督の娘に恋をするトムがお風呂に入っていると,そのお嬢様が彼の背中を流すと言う大昔の東洋のマッサージ女性神話を突然見せるのですから!まだ手をつないだぐらいの仲だと言うのに,裸の男性の体を洗ってしまうのです!
よくあの健さんがこのあたりに抗議をしなかったと今でも不思議に思いますが,別にどうってことないし、かえってアナクロでおかしいと言う説明もあるでしょう。
この時トムが「ケン タカクラ」と発音出来ず「ケンターッキー」と呼んでいたのが判明。トムは親し気に「ケンターッキー!」と大声で健さんを呼んでいました。健さんもフライドチキンの様な名前にまんざらでもないと言う反応を見せてました。そのまま「ケンタッキー」としてハリウッドで知れ渡りそうな勢いでしたが健さんはこれ以上ハリウッドに興味を見せず,日本での仕事に戻って、日本映画にエネルギーを注いでいました。
一緒に撮った写真が何処かにあるのですが,見つかったらご覧に入れましょう。
健さんからのクリスマスカードは今から3年ぐらい前まで毎年届いてました。全然取っておいたりしませんでしたが、心の中に鮮やかに残っています。


若かりし健さん!

ユニフォームと言い星野監督に似ていますね。



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