MELISSA     LEO


目下大評判の「フライト」(12)はデンゼル ワシントンが,ドラッグはするわ,アル中だわ、女遊びはするわ,と勤務寸前まで,遊んでいる機長を,見事にリアルに演じているのですが,最後の方の裁判のシーンで登場するメリッサ レオが又かっこ良いのです。航空機構の弁護士ってな役なのですが,真っ赤なスーツを着て,科学的なデータをもとに機長をやり込めて行きます。非情でなく,バランスの取れた道徳観でデンゼルを追求してく姿は,まるでペリー メイソンのごとくで,どちらに転んでも我々は拍手を送りたくなる二人の息詰る競演なのです。

メリッサ レオが一般の人の目に留まったのは「フローズン リヴァー」(08)でしょう。カナダとの国境の、川が凍り付く(ゆえにタイトルになっている)寒い街で,知り合いのインデイアン(いやネイテイヴ アメリカン)の女性と生活費を稼ぐために,違法移民をカナダからアメリカに運ぶ仕事をしています。彼らの生活は貧乏のどん底で,夫に逃げられたメリッサは,息子の世話に、ほとんどのこってないエネルギーを使いますが,もちろん息子はぶーたら文句ばかり。

2012「フランシーヌ」
鏡など覗く余裕も無いような彼女は髪を振り乱し,鼻水垂らさんばかりに働き続けて,国境保安官をやりすごすのです。

この,見ているだけで、しもやけが出来てしまうオリジナルの映画でメリッサのおばさんパワー爆発が見もの。

1960年9月14日ニユーヨーク生まれですから今52歳のベテラン、下積み生活が長かっただけに,貧乏な新人たちを自分の家に置いてあげたりする賄いのおばさん的世話好きな性格が覗けます。
昼メロで腕を磨いたあと「ホミサイド/殺人捜査課」(93)と言うテレビシリ−ズで人気が出てきて,徐々に映画の脇役をこなしてきました。

「21グラム」((03)とか「メルキアデス エストラーダの3度の埋葬」(05)などなど。

「フローズン リヴァー」の人間味溢れる演技でアカデミー賞候補になり,「ファイター」(10)のボクサー兄弟(と数人の娘たち)の母親役で堂々のアカデミー賞助演女優賞を受賞。

最初のアカデミー賞サーキットで,地味な女優と繰り返していわれ,2回目のアカデミー狙いの時は,自分でカメラマンや衣装係を雇って,豪華なセッテイングを背景に,セクシーにして,ゴージャスなドレスを着た写真をとってそれを業界紙に配ると言うマーケテイングを試みましたが、最初に見た時はのけぞりました。実にさまになってないと言うのか,ラスヴェガスの雰囲気で,ああこの人は根っから,センスが無いのだなーと返って親近感を持ちました。

写真でご覧のとうり,華がないと言うのか,美しく見せる事にずぼらと言うのでしょうか,会見に現れても誰も気がつかないほど、普通の人の空気なのです。

「色々な映画の小さな役をするのが楽しくて。まるで旅芸人の様に,今日はシカゴで,明日はメキシコと,朝目が覚めると,まず自分はどこに居るのか,確認しないと。

「フライト」では科学音痴の私に,ボブ ズメキス監督は
暗記すれば良いと言って,長い専門用語の台詞は,全て全く理解しないままに,すらすらと言ったのですよ。たった1日か2日の仕事でしたけれど,もの凄く緊張しましたね。でもデンゼルの反応が素晴らしくて,こちらもぐっとレベルが上がって,手応えのある演技が出来ました」

髪の毛の色によって人々が違う反応を示す話が面白かったので紹介しましょう。
「私の髪は赤毛なのですが,人々は赤毛を悪女のシンボルだと敬遠するのですよ。だから外を歩いていると顔をそむけられます。ある映画でブルーネット(黒髪)にしたら,他人が微笑みながら、おはよう! とか こんにちわ!と挨拶してくるではないですか。ブルーネットは優しい女性に見えるのですね。又違う映画で,ブロンドにしたら,他人がわざわざ近寄ってきて,笑いながら、私の手を握って,今日は美しい日ですね! とか,お茶でもどうですか? なんて聞いてくるのですから! デイトの相手を捜すのだったら,赤毛では難しいと痛感したのですよ」

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