SON OF SAUL

SON   OF   SAUL

「サウルの息子」は昨日のオスカー外国映画賞を受賞したハンガリーの映画です。アウシュビッツ収容所の死体処理と清掃係のサウルがある日、生き別れの息子、または息子にそっくりな少年を見かけて、彼にユダヤ教にのっとった葬式の儀式をしたいという強迫観念に取りつかれて、ラバイ(ユダヤ教の司祭)を探し出したりとあらゆる努力をするというなんとも凄惨なドラマなのです。ナチの軍人に仕え、肩書きは偉そうな「ゾンダーコマンダー」(特別司令官)ですが、ユダヤ人の同胞をガス室に誘導する役目を背負い、今のところ、収容所の手伝いをしているために処刑されませんが、いつかはその他大勢のユダヤ人と同様に殺される宿命ですから、サウルはもう死んでもともとと息子の葬儀に闇雲に走り回るのです。
映像はほとんどがサウルのストレスに溢れた、パニックの表情のクローズアップで、彼の背後の山のような死体などはぼやっと見えるだけに、見るものの想像力がかきたてられ、帰って恐怖感を募る効果を上げてます。
昨年9月のトロント映画祭で公開されてから、ありとあらゆる映画賞で受賞し続け、晴れてオスカー賞も受賞しました。
右がサウル。
今年の私の予想は、考えすぎのせいでレオ以外ほとんど外れてしまいましたが「サウルの息子」はしっかり当たって、ほっと一息です。




ハンガリー人の記者によるとノーベル賞を最も受賞しているのがハンガリー国だそうで、何しろ頭脳優秀な人が多いい国だそうです。
「サウルの息子」の監督、ラザロ ネメス (Laszlo Nemes)はまだ39歳の若さでこの映画を作りました。金髪の貴公子のような外見ですが、話を始めると英語も完璧で、低予算でいかに収容所の恐怖を見せるかを工夫した話など、内容たっぷりに紹介してくれました。
主演を務めたガザ ローリッグ (Gaza Rohrig)はがっしりとした鼻が特徴の性格俳優で、大変に深い哲学を持った学者肌の人です。

重い映画ですが、第2次大戦中のハンガリーのユダヤ人の歴史を見るためにも、もちろん監督たちの信念の映画作りを見るためにも、機会があったらぜひご覧になって頂きたい外国映画です。
2015「サウルの息子」左が主演のガザ ローリッグ、右は監督のラザロ ネメス。


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