TOM   HIDDLESTON


ロンドン生まれ,今年の2月9日に31歳,貴公子的面持ちがスクリーンに寂寥感を漂わせる新星,トム ヒドルストンは前に紹介したヒュー ロウリー と同じ様に英国エリート育成プロセスの申し子でもあります。イートン校からケンブリッジ大の優等生、RADAと呼ばれる王立演劇アカデミーを出たトムはそれだけで何もアピールしなくても庶民は感心してしまうのです。パブリックスクールのコースは伝統と洗練を養い,同時に分際を知る心得も学ぶので,どこかに格調が漂います。もちろんどら息子や横柄な子息も多いでしょうが。

「戦火の馬」(11)で主人公の少年の愛馬を必ず守って世話を焼くからね,と優しく約束する英国将校の役をほのぼのと演じたのがトムでした。スケッチブックに馬の絵を描いて少年に送る教養が光ります。上官を演じたのが私めの御贔屓,ベネデイクト カンバーバッチで二人とも精巧に仕立てられた制服がよく似合い,乗馬姿も勇壮でした。

馬好きには耐えられない戦場の馬のシーンが暴力的に展開します。スピルバーグ監督の感傷と娯楽意図が交互に出てきて
食べすぎの気分になりましたが。

トムは英国のテレビで注目され,「ソー」(THOR )
(11)で “ロキ” という役を演じて,アクシヨン場面でも鮮やかな殺陣姿を見せました。同じ年のウッデイー アレンの「ミッドナイト イン パリス」では F. スコット フィッツジェラルドをプレイボーイ風に粋に演じています。

今年は売れっ子の年になり,「THE DEEP BLUE  SEA」では人妻レイチェル ワイスの若き恋人役、この映画はほとんど英国版「アンナ カレニーナ」でした。「アヴェンジャーズ」では再びロキの役を手がけて,目下 ロンドンで「ソー 2」の撮影中。

このセットを先日訪れたのですが,主役のクリス ヘムスワースの金髪,野蛮な大男の力づくの戦法と良い対照の漆黒の黒髪に真っ白な顔, 自信にたぎる頭脳戦のシーンを演じていました。髪型が髷が崩れた若殿のようで,雄々しくも,気高く美しかったのが,印象に残ってます。

クリスにはオーストラリア出身のごつさと田舎っぽさがあってそれが彼の魅力になっています。二人のコントラストがドラマを盛り上げていました。

これからのトム ヒドルストン(ちと覚えにくい名前ですが,カンバーバッチと同様,一度見たら、はて?と記憶に残る名前でもあります)の前進にアッテンシオーン!!(軍隊の全員注意!であります)
2011「戦火の馬」

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